犬のフケが多い原因は?洗っても出る理由と対策を獣医師が解説
「最近、うちの子の毛をなでると白い粉がパラパラ落ちてくる…」
「黒い毛にフケが目立って、見るたびにヒヤッとする」
飼い主さんなら一度は気になるのが、犬のフケです。
人と同じように犬の皮膚も新陳代謝で古い細胞が剥がれるため、ある程度のフケは生理現象として誰にでも出ます。
ただし、量が異常に多い・かゆみがある・においを伴う場合は、皮膚トラブルが隠れている可能性があります。
この記事では、現役の獣医師として、フケのタイプの見分け方、主な原因、洗ったのにフケが出る理由、病院に行くべきサインを順番に解説します。
- 健康なフケと、病気のサインになるフケの違い
- フケのタイプ別の見分け方と、主な原因
- 洗ったのにフケが出る理由
- 自宅でできる5つの対策と、受診の目安
そもそも犬のフケって何?皮膚のターンオーバーから解説

犬の皮膚は、人と同じように一定の周期で生まれ変わっています。
古い細胞が剥がれて新しい細胞に入れ替わる仕組みを、皮膚のターンオーバーと呼びます。
このターンオーバーで剥がれ落ちる古い細胞こそが、フケの正体です。
つまり、ある程度のフケが出るのは異常ではなく、健康な皮膚でも自然に起こる現象です。
健康な犬でも毎日少量のフケは出ています。問題になるのは「量・色・かゆみ・におい」のどれかが普段と違うときです。普段の状態をなんとなく覚えておくことが、早期発見の第一歩です。
フケの量が急に増えた・大きな塊で剥がれる・脂っぽくにおうといった変化があるときは、ターンオーバーが乱れているか、感染や炎症が起きているサインです。
フケのタイプ判別|あなたの愛犬はどれ?
犬のフケは、大きく分けて3つのタイプに分類できます。
タイプごとに考えられる原因が違うので、まずは「うちの子はどれか」を見極めることがケアの第一歩です。
犬のフケが出る5つの主な原因

ここからは、犬のフケを引き起こす代表的な5つの原因を、それぞれ詳しく見ていきます。
原因1|乾燥(季節性・室内環境)
冬の暖房や夏の冷房で、犬の皮膚は意外なほど乾燥します。
春と秋の換毛期も、古い毛と一緒に皮膚細胞が大量に剥がれるため、フケが目立つことがあります。
このタイプは白くサラッとしたフケが特徴で、かゆみや赤みがなければ、加湿と保湿ケアで改善することが多いです。
原因2|マラセチア感染
皮膚や耳に常在する真菌(カビの一種)が増えすぎると、マラセチア皮膚炎を起こします。
脂っぽい黄色〜茶色のフケと独特の発酵臭が特徴で、脇・お腹・指の間・耳の中など湿気がこもる場所で起きやすい病気です。
抗真菌シャンプーや投薬での治療が必要なので、においが気になり始めた段階で受診するのが望ましいです。
マラセチア皮膚炎の見分け方と治し方は、マラセチア皮膚炎の記事でくわしく解説しています。
原因3|脂漏症
皮脂の分泌バランスが崩れて、フケが大量に出る皮膚疾患です。
ベタつくタイプと乾燥タイプの2種類があり、動物病院で扱う症例の傾向として、コッカー・スパニエル、シーズー、柴犬などで相談を受ける機会が多い疾患です。
体質的な要因が大きいので、シャンプー療法や投薬で「うまく付き合う」スタンスの管理が基本になります。
原因4|アレルギー(食物・環境)
食物アレルギーや環境アレルギー(ハウスダスト・花粉)が原因で皮膚に炎症が起きると、ターンオーバーが乱れてフケが増えることがあります。
かゆみで体をかいたり舐めたりするうちに皮膚が荒れ、大量のフケに発展するパターンも多いです。
このタイプはフケだけを治そうとしても根本原因(アレルゲン)を断たないと改善しないのが特徴です。
食物アレルギーの確定診断は、血液検査ではなく「除去食試験(最低8〜12週間の食事切り替え)」で行うのが基本です。
アレルギー検査の結果の見方は、アレルギー検査の記事にまとめています。
原因5|寄生虫(ヒゼンダニ・ツメダニ)
ヒゼンダニ(疥癬)やツメダニが寄生すると、強烈なかゆみとあわせてフケが大量に出ます。
特にツメダニは、肉眼でフケが動いているように見えることから「歩くフケ」とも呼ばれます。
人にもうつる可能性があるため、放置せず早急に動物病院で駆虫治療を受けてください。
見逃したくない|ホルモンの病気
5つの原因のほかに、ホルモンの病気でフケが増えることもあります。
とくに多いのが、甲状腺のはたらきが落ちる病気と、副腎のホルモンが出すぎる病気です。
- 体の左右に同じように毛が薄くなる
- 元気がなく、寝てばかりいる
- 食べる量は変わらないのに太ってきた
- 水をたくさん飲み、おしっこが増えた
中高齢の犬に多く、血液検査で調べることができます。
洗ったのにフケが出るのはなぜ?
「シャンプーしたばかりなのに、またフケが出てきた…」というご相談は、とても多いです。
洗った直後は、皮膚から浮いていたフケが乾いて目立つこともあります。
ただ、何日たっても続く場合は、洗い方に原因があるかもしれません。

いちばん多いのは、シャンプーのすすぎ残しです。
泡が残ると皮膚の刺激になるので、泡が消えてからさらに1〜2分すすぎます。
洗いすぎや洗浄力の強いシャンプーも、皮脂をとりすぎてかえって乾燥させます。
ドライヤーの熱風を近くから当てたり、生乾きのままにしたりするのも原因になります。
洗ったあとは、犬用の保湿剤で水分を補ってあげましょう。
フケが気になると、つい何度も洗いたくなります。でも、乾燥のフケは洗うほど増えることがあります。回数を増やす前に、すすぎと乾かし方を見直してみてください。
自宅でできる5つのフケ対策

原因によらず、自宅で取り組めるフケ対策の基本を5ステップにまとめました。
ステップ1|室内湿度を50〜60%に保つ
冬は加湿器、夏も冷房の効きすぎに注意し、室内湿度を一定に保つだけで乾燥型のフケはかなり改善します。
ステップ2|ブラッシングを毎日の習慣に
古い毛と一緒にフケを物理的に取り除き、皮膚の血行も促進できます。
換毛期はラバーブラシ、それ以外はスリッカーブラシなど、犬種や毛質に合った道具を選んでください。
ステップ3|シャンプーの頻度と種類を見直す
洗いすぎは皮脂を奪って乾燥を招き、逆に間隔が空きすぎると皮脂が酸化してフケの原因になります。
一般的には2〜4週間に1回が目安で、脂っぽいフケがあるなら抗真菌成分入りの薬用シャンプーを獣医師に相談してください。
ステップ4|フードを見直す(必須脂肪酸の補給)
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は、皮膚バリア機能のサポート成分として知られています。
サーモンオイルなど、必須脂肪酸を含むフードやトッピングを取り入れてみる価値があります。
皮膚のためのフードで迷ったら、悩み別に比べた記事も参考にしてください。
皮膚のバリアを支えるオメガ3を含むフードや、アレルギーに配慮した魚系フードを、獣医師が原材料で比較しています。
愛犬に合うフードを比べてみる →ステップ5|寝具・空気環境を清潔に保つ
寝床のタオルやベッドカバーは週1回を目安に洗濯し、空気清浄機やこまめな掃除でハウスダストやダニを減らす環境作りを徹底しましょう。
こんなフケはすぐ動物病院へ|受診サイン
以下のサインが出ているときは、自宅ケアで様子を見ずに早めに動物病院を受診してください。
- フケと一緒に強いかゆみがある
- 体やお腹に赤いブツブツ・湿疹がある
- フケが脂っぽく、独特のにおいがする
- かさぶた状の大きなフケが剥がれる
- 自宅ケアを2週間続けても改善しない
- 毛が部分的に薄くなっている/脱毛がある
ただし、室内で暮らす犬では、寄生虫が原因のフケはそれほど多くありません。
ほとんどは、乾燥・マラセチア・脂漏症・アレルギーのどれかです。
よくある質問
- 換毛期のフケは病気じゃないの?
-
換毛期に一時的にフケが増えるのは、よくあることです。
ただし、3〜4週間以上続く、かゆみや赤みがある、においが強いときは、病気が隠れていることがあります。
- フケが出やすい犬種はありますか?
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皮脂が多くなりやすいアメリカン・コッカー・スパニエル、シーズー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアなどは、フケが出やすい犬種です。
アトピーになりやすい柴犬やフレンチ・ブルドッグも、フケの相談が多い犬種です。
- フケを放っておくとどうなりますか?
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乾燥だけのフケなら、すぐに悪くなることは多くありません。
ただ、かゆみがあると、かき壊したところから細菌が入り、膿皮症などにつながることがあります。
- ストレスでフケは出ますか?
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ストレスだけで、フケが大量に出ることは多くありません。
ストレスで体をなめたりかいたりして、皮膚が荒れることはあります。
まずは皮膚の病気がないかを確かめましょう。
- 市販のシャンプーで対処していい?
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軽い乾燥のフケなら、保湿成分入りの低刺激シャンプーで十分なこともあります。
脂っぽいフケや、赤み・かゆみがあるときは、先に獣医師に相談したほうが早く治ります。
- 子犬や老犬はフケが出やすい?
-
はい、出やすい時期です。
子犬は皮膚のバリアが未発達で、老犬は皮脂が減って乾燥しやすいためです。
ふだんから皮膚をさわって確かめる習慣をつけておきましょう。
まとめ|フケは皮膚からの最初のSOS
- 健康な犬でも、少しのフケは自然に出る
- 「大量・脂っぽい・かゆみあり」のフケは、皮膚トラブルのサイン
- 主な原因は、乾燥・マラセチア・脂漏症・アレルギー・寄生虫の5つ
- 洗ったのに出るときは、すすぎ・洗う回数・乾かし方・保湿を見直す
- 脱毛や元気のなさを伴うときは、ホルモンの病気も疑って受診を
「うちの子のフケ、ただの乾燥かな?それとも病気?」という不安が、この記事で少しでもクリアになっていたら嬉しいです。
フケは、皮膚からの最初のSOSとも言われます。
普段のスキンシップの中で小さな変化に気づけることが、愛犬の健康を守るいちばんの近道です。
赤みやかゆみも続くときは、アトピー性皮膚炎の記事もあわせて読んでみてください。
かゆみ止めの薬について知りたい方は、犬のかゆみ止めの違いにまとめています。
