犬のゼンレリアとは?アポキルとの違い・副作用・効くまでの時間・費用を獣医師が解説
「アポキルが効きにくくなって、ゼンレリアという新しい薬をすすめられた」
「新しい薬って、副作用は大丈夫なのかな…」
ゼンレリアについて、こんな疑問を感じていませんか?
ゼンレリアは、2024年に日本で承認された、1日1回飲むかゆみ止めの新しい飲み薬です。
アポキルと同じ仲間の薬ですが、飲み方や効き方にちがいがあります。
動物病院で毎日皮膚の相談を受けている現役の獣医師として、ゼンレリアの特徴と、アポキルとの違い、副作用をわかりやすく解説します。
- ゼンレリアはどんな薬か
- アポキルとの違い(どっちがいいか)
- どのくらいで効くか、飲ませ方のポイント
- 副作用と、飲んでいる間に気をつけたいこと
- 長く飲んでも大丈夫か、費用の目安
ゼンレリアとは?どんな薬?
ゼンレリアは、犬のアトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎のかゆみをおさえる飲み薬です。
成分は「イルノシチニブ」で、エランコという会社が作っています。
かゆみの信号を体の中で伝わりにくくする「JAK阻害薬」という種類の薬です。
アポキルと同じ仲間ですが、ステロイドではありません。

飲み方は、体重に合わせた量を1日1回です。
かゆみの信号を止めるかわりに、免疫の働きも少しおさえるので、注意点を知ったうえで使うことが大切です。
アポキルとの違いは?どっちがいい?
いちばんわかりやすい違いは、飲む回数です。

アポキルは、はじめの最長2週間は1日2回飲み、そのあと1日1回に減らします。
ゼンレリアは、はじめから1日1回です。
海外で338頭の犬を比べた試験では、はじめの2週間のかゆみの減り方は、どちらも同じくらいでした。
1か月目以降は、ゼンレリアのほうがかゆみと皮膚の状態の点数が低い結果になりました。
ただし、この試験はゼンレリアを作っている会社の支援で行われたものです。
アポキルは途中で1日1回に減らしますが、そのタイミングでかゆみが出てきてしまう子に、ゼンレリアをすすめることが多いです。
反対に、アポキルのほうが合う子もいます。
どちらがいいかは犬によって違うので、かゆみの様子や費用も含めて先生と相談しましょう。
アポキルについては、アポキルの副作用の記事でくわしく解説しています。
ゼンレリアはどのくらいで効く?飲ませ方のポイント
ゼンレリアは、アポキルと同じように、飲み始めて早いうちからかゆみが減り始める薬です。
しばらく飲んでもかゆみが変わらないときは、ほかの原因が隠れていないか、先生に確認してもらいましょう。
- 1日1回、毎日なるべく同じ時刻に飲ませる
- ごはんと一緒でも、そうでなくても飲ませられる
- 割った錠剤は、3日以内に使う
- 飲ませたあとは、人の手を洗う
飲ませ忘れたときは、自己判断せずに、かかりつけの動物病院に電話で確認してください。
細菌やマラセチアの感染が重なっていると、かゆみ止めだけでは止まりにくくなります(マラセチア皮膚炎の記事)。
ゼンレリアの副作用と、飲んでいる間に気をつけたいこと
説明書に書かれている主な副作用は、一時的な嘔吐と下痢です。

免疫の働きを少しおさえるので、毛包虫(ニキビダニ)などの皮膚の感染症にかかりやすくなることがあります。
多めの量で長く飲ませた試験では、量に応じて、指の間が腫れてできものになる変化が増えました。
はじめてワクチンを打つ若い犬では、ワクチンの効きが遅れる可能性があると書かれています。
ステロイドやシクロスポリンなど、ほかの免疫をおさえる薬と一緒に使ったときの安全性は、まだ確かめられていません。
- 1歳(12か月)未満の子
- 体重3kg未満の子
- 重い感染症がある子
- 妊娠中・授乳中の子、繁殖の予定がある子(安全性が確かめられていない)
- 成分にアレルギーがある子
下痢が何日も続く、ぐったりしている、指の間が腫れてきたときは、早めに病院へ連絡してください。
ゼンレリアを長く飲んでも大丈夫?やめたらどうなる?
アトピー性皮膚炎は長くつき合う病気なので、ゼンレリアを続けて飲む子も多くいます。
説明書では、長く飲むときは、定期的に体の様子や血液検査を確かめることがすすめられています。
かゆみが落ち着いたからといって自己判断でやめると、かゆみや皮膚の感染がぶり返すことがあります。
量を減らしたり、やめたりするかどうかは、先生と相談しながら決めましょう。
ゼンレリアの費用はどのくらい?
ゼンレリアの費用は、体重によって変わります。
体重に合わせて、錠剤の大きさや数が変わるからです。
費用はアポキルとそこまで大きく変わらない印象ですが、病院によって異なります。
毎日飲む薬なので、続けられるかどうかも含めて、遠慮なく先生に相談しましょう。
注射のサイトポイントなど、ほかの薬を選ぶ方法もあります。
薬ごとの違いは、犬のかゆみ止めの記事やサイトポイントの記事で比べています。
食べ物のアレルギーが重なっている子は、フードを見直すとかゆみが落ち着くことがあります。
原因になりやすい食材を避けた魚系フードや分解タンパク食を、獣医師が原材料で比較しています。
愛犬に合うフードを比べてみる →よくある質問
- ゼンレリアはステロイドですか?
-
いいえ、ステロイドではありません。
アポキルと同じ「JAK阻害薬」という種類の薬です。
- アポキルからゼンレリアに変えるときは、どうすればいいですか?
-
切り替えのタイミングや飲ませ方は、先生の指示に従ってください。
自己判断で2つの薬を一緒に飲ませないようにしましょう。
- 猫にも使えますか?
-
説明書では、犬以外には使わないよう書かれています。
- 市販や通販で買えますか?
-
ゼンレリアは、獣医師の指示が必要な薬です。
体重に合った量や、副作用が出ていないかを確かめながら使う必要があるので、動物病院で処方してもらいましょう。
- 飲ませ忘れたときは、どうすればいいですか?
-
自己判断せずに、かかりつけの動物病院に電話で確認してください。
飛ばしてよいか、気づいた時点で飲ませるべきかは、その子の状態によって変わります。
まとめ|新しい薬も、検査をしながら上手に使う
- ゼンレリアは、2024年に承認された1日1回のかゆみ止め。アポキルと同じJAK阻害薬の仲間
- アポキルとの大きな違いは、はじめから1日1回であること
- 主な副作用は一時的な嘔吐・下痢。皮膚の感染症や指の間の腫れにも気をつける
- ワクチンの前や、ほかの薬を使うときは、ゼンレリアを飲んでいることを伝える
- 長く飲むときは定期的に検査を受け、やめる・減らすは先生と相談する
かゆみの土台を整える方法は、アトピー性皮膚炎の記事も参考にしてください。
※この記事は一般的な情報です。
薬の量や飲み方は、必ずかかりつけの獣医師と相談してください。
📚 参考文献
・農林水産省 動物医薬品検査所「動物用医薬品等データベース:ゼンレリア錠」(添付文書)
・Forster S, et al. (2025). Comparative efficacy and safety of ilunocitinib and oclacitinib for the control of pruritus and associated skin lesions in dogs with atopic dermatitis. Vet Dermatol.
・Olivry T, et al. (2015). Treatment of canine atopic dermatitis: 2015 updated guidelines from the International Committee on Allergic Diseases of Animals (ICADA). BMC Vet Res.
