症状・悩み別

犬のシャンプーの頻度は肌質で決まる|獣医師が教える洗い方と洗いすぎのサイン

きゃん

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「シャンプーは月に何回がいいの?」

「週1回だと洗いすぎ?それとも足りない?」

調べるほど答えがバラバラで、迷っていませんか?

結論から言うと、シャンプーの頻度は、犬種や年齢よりも「肌質」で決まります。

乾燥しやすい子と、脂っぽい子では、ちょうどいい回数がまったく違うからです。

動物病院で毎日皮膚の相談を受けている現役の獣医師として、皮膚科の教科書をもとに、肌質ごとの目安と洗い方をまとめました。

この記事でわかること
  • 肌質ごとのシャンプーの頻度の目安
  • 洗いすぎのサイン
  • 獣医師がすすめる洗い方(お湯の温度・すすぎ・乾かし方)
  • シャンプーの選び方と、人間用を使わない理由
  • 子犬はいつから?シニア犬は?

結論:シャンプーの頻度は「肌質」で決まる

ネットでは「月1〜2回」「週1回」「3〜4日に1回」など、いろいろな答えが見つかります。

どれも間違いではなく、その子の肌質によって正解が変わるのです。

皮膚は約3週間で生まれ変わりますが、脂っぽい肌の子ではこれが速く、フケや皮脂がたまりやすくなります。

反対に乾燥しやすい子は、洗いすぎると皮膚のバリアが弱り、かえってかゆみやフケが増えることがあります。

まずは、愛犬の肌がどのタイプに近いかを見てみましょう。

肌質別のシャンプーの頻度の目安

犬の肌質別のシャンプーの頻度の目安:皮膚に問題がない子は月1〜2回、アトピーの子は週1回、脂っぽい子は週2回から、乾燥肌は控えめに、汗っかきは強いシャンプー不要、膿皮症やマラセチアは先生の指示で
肌質頻度の目安ポイント
皮膚に問題がない子汚れやにおいが気になったとき(月1〜2回が目安)洗いすぎないこと
アトピーの子週1回国際的なガイドラインの目安。洗ったあと保湿する
脂っぽい・フケが多い子(脂漏症)最初は週2回 → 落ち着いたら5〜7日に1回夏は少し増やし、冬はゆるめる
乾燥肌の子控えめにシャンプーの代わりに、ぬるま湯だけで洗う日をつくる
汗っかきの子ベタつきが戻るのを見て決める強いシャンプーは不要。脂っぽい肌とまちがえて洗いすぎない
膿皮症・マラセチアの子先生の指示で(多くは週2回から)薬用シャンプーは治ったら使い方を見直す

アトピーの子は「週1回」が国際的なガイドラインでの目安です。

ただし、洗ったあとの保湿までがセットです。

膿皮症やマラセチアの薬用シャンプーは、膿皮症の記事とマラセチア皮膚炎の記事でくわしく解説しています。

フケが多い子は、フケの記事で原因の見分け方を確認できます。

こんなときは洗いすぎかも

「皮膚のためにこまめに洗っているのに、良くならない」という相談はよくあります。

次のようなときは、洗いすぎで皮膚のバリアが弱っているのかもしれません。

洗いすぎのサイン
  • 週2〜3回洗っても、フケやかゆみが良くならない
  • 洗ったあと、かえってフケやかゆみが増える
  • 洗ったあと、皮膚が赤くなる・粉をふく
  • ベタつきを落とそうと、洗浄力の強いシャンプーを使い続けている

シャンプーだけをすると、皮膚から水分が逃げやすい状態が3日ほど続くことがあります。

シャンプーと保湿はセットと考えて、洗ったあとは保湿剤を使いましょう。

それでも良くならないときは、肌質の見立てが違っている可能性があるので、先生に相談してください。

獣医師がすすめる洗い方

同じシャンプーでも、洗い方で皮膚への負担は大きく変わります。

皮膚科の教科書でもすすめられている手順を、図にまとめました。

犬のシャンプーの手順:ブラッシング、35〜38℃のぬるま湯で時間をかけて濡らす、泡立ててからのせる、毛の流れに沿ってやさしくもむ、シャンプーより長くすすぐ、保湿、タオルでしっかり拭く、熱くないドライヤーで根元まで乾かす

お湯は35〜38℃のぬるま湯

熱いお湯は、皮膚の脂を落としすぎて乾燥やかゆみのもとになります。

42℃を超えるお湯は皮膚を傷めるので、人がぬるいと感じる35〜38℃にしましょう。

泡立ててから、毛の流れに沿って洗う

シャンプーは、手やネットでしっかり泡立ててから体にのせます。

直接つけてから泡立てると、こする回数が増えて皮膚の負担になります。

毛の流れに逆らってゴシゴシ洗うと、毛穴が傷ついて炎症が起きることがあります。

すすぎは、洗った時間より長く

シャンプーが残ると、かゆみや赤みの原因になります。

わきの下、指の間、内ももは残りやすいので、ていねいに流しましょう。

根元までしっかり乾かす

ドライヤーの風は、人の肌に当てて熱くない温度にします。

毛の奥が生乾きのままだと、皮膚がふやけて細菌が増えやすくなります。

急にジュクジュクする皮膚炎(ホットスポット)のきっかけになることもあるので、根元まで乾かしましょう。

シャンプーの選び方

シャンプーを選ぶときは、パッケージの表より、裏の成分表を見てください。

いちばん大事なのは、汚れを落とす「洗浄成分」の種類です。

洗浄成分の種類特徴向いている子
アミノ酸系洗う力はおだやかで、刺激が少ない乾燥肌・アトピー・子犬・シニア
高級アルコール系(硫酸系)洗う力が強い皮脂が多い子(使いすぎに注意)

「保湿成分入り」と書いてあっても、刺激が少ないとは限りません。

刺激の強さは、主な洗浄成分で決まるからです。

参考までに、乾燥しやすい子や敏感な子に私が使っている低刺激シャンプーです。

病院のケアでもふだんから使っています。

人間用のシャンプーは使わない

犬の皮膚の表面(表皮)は、人の約3分の1の薄さしかありません。

皮膚の性質も人とは違うので、人間用のシャンプーは刺激が強すぎることがあります。

必ず犬用のシャンプーを使いましょう。

季節でシャンプーを変えるコツ

季節皮膚の状態シャンプーのコツ
夏(梅雨〜夏)皮脂と汗が増え、細菌やマラセチアが増えやすいベタつく子は回数を少し増やす。しっかり乾かす
冬皮脂と汗が減り、乾燥しやすい回数と洗う力をゆるめ、保湿を強める

冬は、暖房で部屋が乾燥しやすい季節です。

部屋の湿度が50%を切ると乾燥肌になりやすいので、加湿もあわせて考えましょう。

乾燥肌の子の保湿のやり方は、犬の乾燥肌と保湿ケアの記事にまとめています。

子犬はいつから?シニア犬は?

子犬のシャンプーはいつから?

子犬のシャンプーを何週から始めればいいかを決めた研究はありません。

目安は、家に来て環境に慣れてから(生後8週以降)です。

最初は短い時間、ぬるま湯で洗って、すぐに乾かしてあげてください。

それまでの汚れは、ぬらしたタオルで拭くだけで十分です。

サロンデビューは、ワクチンのプログラムが終わってからにしましょう。

生まれたばかりの子犬は、自分で体温を保つしくみがまだ育っていません。

獣医学の教科書では、体温を調節するしくみがそろうのは生後4週ごろとされ、ぬれると体温が急に下がると書かれています。

日本では、生後8週(56日)を過ぎないと子犬を販売・引き渡しできない決まりがあります。

そのため、家に来た時点で、多くの子はすでに8週を過ぎています。

シニア犬のシャンプー

年をとると、皮脂が減って皮膚が乾燥しやすくなります。

洗う力のおだやかなシャンプーを選び、洗ったあとの保湿を成犬のころより念入りにしましょう。

体力も落ちてくるので、手早く終わらせ、体が冷えないように気をつけてください。

よくある質問

Q
シャンプーしてもすぐ臭くなるのはなぜですか?

皮脂が多い肌質や、マラセチアという菌が増えていることがあります。

耳や口、おしりのにおいのこともあります。

洗う回数を増やす前に、においの元を先生に確かめてもらいましょう。

Q
毎日シャンプーしてもいいですか?

皮膚に問題がない子は、毎日のシャンプーはおすすめしません。

足先だけが汚れたときは、足だけをお湯で洗うか拭き取りで十分です。

Q
ドライシャンプーだけで大丈夫ですか?

部分的な汚れには便利ですが、汚れを落とす力はふつうのシャンプーに及びません。

皮膚の弱い子は、残った成分で荒れないか様子を見ましょう。

Q
薬用シャンプーはずっと使っていいですか?

薬用シャンプーは、菌を減らすなど目的のあるシャンプーです。

良くなったら、ふだん用のシャンプーに切り替えるか、先生に使い方を確認しましょう。

まとめ|シャンプーは「肌質に合わせて、洗ったら保湿」

この記事のまとめ
  • シャンプーの頻度は、犬種や年齢より肌質で決まる
  • アトピーの子は週1回、脂っぽい子は週2回から、乾燥肌の子は控えめに
  • 洗いすぎると皮膚のバリアが弱り、かえってかゆみやフケが増える
  • お湯は35〜38℃、泡立ててから洗い、すすぎは長く、根元まで乾かす
  • シャンプーと保湿はセット。人間用のシャンプーは使わない
  • 子犬は家に来て慣れてから(生後8週以降)。それまでは拭くだけで十分

アトピーの子のスキンケアと食事は、アトピー性皮膚炎の記事も参考にしてください。

※この記事は一般的な情報です。

皮膚に症状があるときのシャンプーは、かかりつけの獣医師と相談してください。

📚 参考文献
・伊従慶太(2018)『獣医皮膚科専門医が教える 犬のスキンケア パーフェクトガイド』interzoo
・村山信雄 監修(2019)『伴侶動物の皮膚科・耳科診療』緑書房
・Olivry T, et al. (2015). Treatment of canine atopic dermatitis: 2015 updated guidelines from the International Committee on Allergic Diseases of Animals (ICADA). BMC Vet Res.
・Merck Veterinary Manual「Management of the Neonate in Dogs and Cats」
・Lezama-García K, et al. (2022). Is the Weight of the Newborn Puppy Related to Its Thermal Balance? Animals.
・動物の愛護及び管理に関する法律(生後56日を経過しない犬猫の販売等の制限)

ABOUT ME
きゃん
きゃん
獣医師 / ペット健康ノート 運営者
動物病院で犬・猫の診療を続ける現役獣医師。皮膚のかゆみ・赤み・外耳炎の相談を毎日受けています。犬の健康管理アプリの監修も担当。診察室で伝えきれない「食事でできること・受診の目安」を、論文をもとにわかりやすくまとめています。ラグドールと暮らしています。
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