症状・悩み別

犬のステロイドの副作用は?やめたら・一日置き・減らし方を獣医師が解説

きゃん

「ステロイドを飲み始めてから、水をガブガブ飲むようになった…」

「このままずっと飲ませて、体は大丈夫なのかな…」

ステロイドを処方されて、こんな不安を感じていませんか?

ステロイドは、使い方を守れば、かゆみや炎症をしっかりおさえてくれる頼れる薬です。

こわいのは薬そのものより、自己判断で急にやめたり、量を変えたりすることです。

動物病院で毎日皮膚の相談を受けている現役の獣医師として、副作用とやめ方をわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • ステロイドは、どんなときに使う薬か
  • すぐ出やすい副作用と、長く使うと出やすい副作用
  • やめたらどうなる?急にやめてはいけない理由
  • 一日置きにする理由と、減らし方
  • 上手な飲ませ方と、飲ませ忘れたときの対応
  • 副作用はいつまで続く?効くまでの時間は?

犬のステロイドとは?どんなときに使う薬?

ステロイドは、体の中で作られるホルモン(副腎皮質ホルモン)を、薬にしたものです。

炎症やかゆみを強くおさえる力と、免疫のはたらきをおさえる力があります。

犬でステロイドを使う主な場面
  • かゆみの強い皮膚炎・アトピー・外耳炎
  • 関節や腸の炎症
  • 免疫が自分の体を攻撃してしまう病気
  • 一部のがん(リンパ腫など)の治療

同じステロイドでも、病気によって使う量や期間が大きく違います。

犬でよく使われるのは、プレドニゾロンという飲み薬です。

ステロイドの副作用|すぐ出やすいもの・長く使うと出やすいもの

副作用は、「短い間でも出やすいもの」と「長く・多く使うと出やすいもの」に分けると、わかりやすくなります。

犬のステロイドの副作用:すぐ出やすいものと、長く・多く使うと注意したいもの

水をよく飲む、おしっこが増える、食欲が増えるは、とくによく見られる変化です。

これらの多くは、量を減らしたり、やめたりすると落ち着きます。

🩺 獣医師メモ:水をよく飲むからといって、飲み水を減らさないでください。脱水になるおそれがあります。トイレやお散歩の回数を増やしてあげましょう。

長く・多く使うときに注意したいのが、医原性クッシング症候群(薬によってホルモンが多すぎる状態になる病気)です。

皮膚が薄くなる、毛が抜ける、お腹がふくれて見える、筋肉が落ちる、といった変化が出ます。

ステロイドをやめたらどうなる?急にやめてはいけない理由

ステロイドを長く飲んでいると、体が自分でホルモンを作る力が弱まります。

その状態で急にやめると、体に必要なホルモンが足りなくなります。

⚠️ 急にやめたときに出ることがある症状
  • 元気がなくなる、ぐったりする
  • 食欲が落ちる
  • 吐く、下痢をする
  • 体がふるえる

また、おさえていたかゆみや炎症が、一気にぶり返すこともあります。

自己判断でやめずに、必ず先生と相談しながら減らしてください。

一日置きにするのはなぜ?ステロイドの減らし方

ステロイドは、量を少しずつ減らしながら終わらせるのが基本です。

ステロイドの減らし方の流れ:毎日→量を減らす→一日置き→終了

途中で一日置きにするのは、薬を飲まない日に、体が自分でホルモンを作る練習をするためです。

一日置きは、副作用をおさえながら長く使いたいときにも使われる方法です。

急にやめてしまうと、せっかくおさまっていた症状が再発して、今まで薬を飲んでいた意味がなくなってしまう場合もあります。なかなか減薬できない場合は、ほかの薬への変更を提案することもあります。

1週間ほどの短い使い方なら、減らさずにやめることもあります。

どのくらいの期間でどう減らすかは、病気と使った期間によって先生が決めます。

飲ませ方のコツと、飲ませ忘れたとき

ステロイドは、ご飯と一緒か、食べたすぐあとに飲ませるのが基本です。

空腹のときに飲むと、胃があれたり吐いたりしやすくなるからです。

1日1回の薬は、朝に飲ませるよう指示されることが多いです。

夕方以降に飲ませると、夜中にトイレが近くなりやすいためです。

飲ませ忘れたときは、自己判断せずに、かかりつけの動物病院に電話で確認してください。

飛ばしてよいか、気づいた時点で飲ませるべきかは、病気や薬の量によって変わるためです。

錠剤をいやがる子は、少しのご飯やおやつに包むと飲ませやすくなります。

食べ物のアレルギーがある子は、ふだんのフードなど、食べてもよいもので包みましょう。

何日も飲ませられないときは、急にやめたのと同じ状態になるので、早めに相談してください。

副作用はいつまで続く?効くまでの時間は?

飲み薬のステロイドは、早ければ数時間から1日ほどで効き始めます。

水をよく飲むなどの変化は、薬を減らしたりやめたりすると、多くは数日〜2週間ほどで落ち着きます。

長く使って出た皮膚や体型の変化は、戻るまでに数か月かかることもあります。

ステロイドの時間の目安
  • 効き始め:数時間〜1日
  • 飲み水やおしっこの変化:やめてから数日〜2週間で落ち着くことが多い
  • 皮膚や体型の変化:戻るまで数か月かかることも

ステロイドを長く使うときに気をつけたいこと

病気によっては、ステロイドを長く使うこともあります。

長く使うときのポイント
  • 必要な最小限の量と回数にしてもらう
  • 定期的に、血液検査と尿検査を受ける
  • 飲み水・食欲・体重・皮膚の変化をメモしておく
  • ほかの痛み止めを、自己判断で一緒に飲ませない

かゆみのために長く使う場合は、ステロイド以外の薬に切り替える方法もあります。

アポキル・ゼンレリア・サイトポイントとの違いは、犬のかゆみ止めの記事で比べています。

月1回の注射のサイトポイントについては、サイトポイントの記事で解説しています。

毎日の飲み薬のアポキルについては、アポキルの副作用の記事で解説しています。

食べ物のアレルギーが背景にある子は、フードを見直すとかゆみの土台が下がり、薬を減らしやすくなることがあります。

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こんなときは、すぐに病院へ連絡を

ステロイドを飲むと、むしろ元気や食欲が増える子が多いです。

次のような様子があるときは、次の診察を待たずに連絡してください。

🏥 すぐに連絡してほしいサイン
  • ぐったりして、動こうとしない
  • 何度も吐く、黒っぽい便が出る
  • 寝ているときも息が荒く、苦しそう
  • 飲み水やおしっこの量が、急にさらに増えた
  • 薬を飲ませ忘れたあと、元気がない

よくある質問

Q
ステロイドを1週間飲ませても大丈夫ですか?

先生が決めた量で1週間ほど使うぶんには、大きな問題になることは多くありません。

水をよく飲むなどの変化が出ることはありますが、多くはやめると落ち着きます。

Q
1か月以上続けても大丈夫ですか?

病気によっては長く使うこともあります。

その場合は、量を減らしたり一日置きにしたりしながら、定期的な検査で見守ります。

Q
ステロイドで、寿命は縮みますか?

先生の指示どおりに使うぶんには、ステロイドそのもので寿命が縮むと心配しすぎる必要はありません。

ただ、多い量を長く使うほど副作用は出やすくなるので、必要な最小限の量で使い、検査で見守ることが大切です。

Q
ステロイドの塗り薬なら安全ですか?

飲み薬より体への影響は少ないですが、同じ場所に長く塗り続けると、皮膚が薄くなることがあります。

塗る期間も先生と相談しましょう。

Q
ステロイドの代わりになる薬はありますか?

かゆみ止めなら、アポキル・ゼンレリア・サイトポイント・シクロスポリンなどがあります。

病気によって選べる薬は違うので、先生に相談してください。

まとめ|ステロイドは「急にやめない」が一番大切

この記事のまとめ
  • ステロイドは、炎症やかゆみを強くおさえる、頼れる薬
  • 水をよく飲む・おしっこが増える・食欲が増えるは、よく見られる副作用
  • 長く飲んだあとに急にやめると、ぐったりするなどの症状が出ることがある
  • 減らすときは、量を少しずつ減らし、一日置きにしてから終える
  • 長く使うときは、定期的な検査と、ほかの薬への切り替えも考える

かゆみの土台を整える方法は、アトピー性皮膚炎の記事も参考にしてください。

※この記事は一般的な情報です。

薬の量ややめ方は、必ずかかりつけの獣医師と相談してください。

📚 参考文献
・Behrend EN, Kemppainen RJ. (1997). Glucocorticoid therapy: pharmacology, indications, and complications. Vet Clin North Am Small Anim Pract.
・Olivry T, et al. (2015). Treatment of canine atopic dermatitis: 2015 updated guidelines from the International Committee on Allergic Diseases of Animals (ICADA). BMC Vet Res.

ABOUT ME
きゃん
きゃん
獣医師 / ペット健康ノート 運営者
動物病院で犬・猫の診療を続ける現役獣医師。皮膚のかゆみ・赤み・外耳炎の相談を毎日受けています。犬の健康管理アプリの監修も担当。診察室で伝えきれない「食事でできること・受診の目安」を、論文をもとにわかりやすくまとめています。ラグドールと暮らしています。
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