犬の耳掃除は必要?獣医師が教える頻度とやり方|耳垢の色で見る受診のサイン
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「犬の耳掃除って、どのくらいの頻度ですればいいの?」
「茶色い耳垢が出てきたけど、大丈夫?」
耳のお手入れは、調べるほど答えがバラバラで迷いますよね。
実は、健康な耳は、掃除しすぎないほうがよいのです。
動物病院で毎日皮膚と耳の相談を受けている現役の獣医師として、皮膚科・耳科の教科書をもとに、耳掃除のやり方と耳垢の見方をまとめました。
- 耳掃除は必要?頻度の目安
- 拭くだけでよい子と、洗ったほうがよい子
- イヤークリーナーの正しい使い方
- 綿棒をすすめない理由
- 耳垢の色でわかること・病院に行きたいサイン
結論:健康な耳は掃除しすぎない。見るのは週1回、拭くのは見える所だけ
犬の耳垢は、耳の奥から入口へ向かって、自然に外へ運ばれていきます。
そのため、耳に異常がなければ、家で耳の中まで掃除する必要はありません。
家でやるのは、週1回ほど耳の中を見て、においをかぐことです。
汚れが気になるときは、見える所だけをやさしく拭きましょう。
耳の炎症をくり返す子など、洗ったほうがよい子もいます。
耳垢は「汚れ」ではない
耳垢は、はがれた皮膚や、耳の中の腺から出る分泌物、ホコリなどでできています。
教科書では、耳垢には次のような働きがあるとされています。
- 掃除:古い角質やホコリを、耳の外へ運び出す
- 保湿:耳の中の皮膚を、乾燥から守る
- 水をはじく:湿りすぎから守る
- 菌をおさえる:細菌やカビが増えにくい環境にする
耳垢を無理に取りすぎると、こうした働きが弱まり、かえって外耳炎のきっかけになることがあります。
家でのお手入れ:拭くだけの子と、洗ったほうがよい子
「耳に液を入れてはいけない」「洗浄液を入れて揉むのが基本」と、情報が食い違っていて迷う方も多いと思います。
答えは、その子の耳の状態によって変わります。

| 拭くだけの子 | 洗ったほうがよい子 | |
|---|---|---|
| 耳の状態 | 赤みやにおいがなく、耳垢が少ない | 耳の炎症をくり返す・脂っぽい耳垢が多い |
| 多い犬種・体質 | 立ち耳で、皮膚のトラブルが少ない子 | アトピー・食物アレルギーの子、パグ・シーズー・フレンチブルドッグ・チワワ(耳道がせまい)、プードル・シュナウザー(耳毛が多い)、垂れ耳の子 |
| 家でやること | 週1回見る・見える所だけ拭く | 先生に頻度を聞いて、イヤークリーナーで洗う |
拭き方
ぬるま湯でぬらして軽くしぼったコットンかガーゼで、耳の入口の、指が届く見える所だけをやさしく拭きます。
耳の穴の奥に、指やコットンを押し込まないようにしましょう。
獣医師がすすめる耳の洗い方(イヤークリーナー)
洗ったほうがよい子は、イヤークリーナーで耳の中を洗います。
初めてのときは、病院でやり方を見せてもらうと安心です。

- クリーナーは手で温めて、人肌くらいにしておく
- 耳をめくって持ち、耳の穴をクリーナーで満たす
- 耳の付け根を、やさしくもむ(クチュクチュと音がすればOK)
- 手をはなして、頭を振らせて液と汚れを出す
- 耳の入口に出てきた汚れを、コットンでやさしく拭く
犬の耳の穴はL字に曲がっているので、汚れは横の奥にたまりやすくなっています。
液で満たしてもむことで、綿棒では届かない奥の汚れを、浮かせて出すことができます。
耳を強く引っぱったり、強くもんだりするのはやめましょう。
イヤークリーナーの選び方
イヤークリーナーには、耳垢をやわらかくするもの、汚れを落とすもの、菌をおさえるものなどがあります。
耳にただれがあるとしみる成分や、鼓膜が破れているときには使えない成分もあります。
耳に赤みや痛みがあるときは、使う前に先生に相談してください。
参考までに、私が使っているイヤークリーナーを紹介します。
病院のケアでもふだんから使っています。
やってはいけない耳掃除
綿棒を耳の穴に入れる
綿棒は、耳垢を奥に押し込んでしまうことがあります。
耳の中の皮膚を傷つけて、外耳炎のきっかけになることもあります。
綿棒は、最悪の場合、鼓膜を破ってしまうことがあります。
自宅ではやらないように伝えています。
ほかにも避けたいこと
- アルコール・オキシドール・人間用の耳のケア用品を使う
- 毎日のようにゴシゴシ洗う・拭く
- 健康な耳の耳毛を抜く(汚れた毛は、抜かずにカット)
- 赤い・痛がる耳を、家で洗う
耳毛を抜きすぎると、ゴミや異物から耳を守る力が弱まります。
トリミングでの耳毛抜きが気になるときは、サロンや病院に相談してみてください。
耳垢の色でわかること
いちばん多い相談が「茶色い耳垢が出た」です。
耳垢の色やようすは、耳の中で何が起きているかのヒントになります。

| 耳垢のようす | 考えられること |
|---|---|
| こげ茶色で、少しだけ | ふつうの耳垢 |
| 薄茶色で、ベタベタ・においが強い | マラセチア(カビの一種)が増えているかも |
| 黄色で、しめっている | 細菌(ブドウ球菌など)が増えているかも |
| 黄緑色で、ねばねば・血がまじる | 緑膿菌のことも。早めに受診 |
| コーヒーかすのような、黒っぽく乾いた耳垢が多い | ミミダニのことも(同居の犬や猫もいっしょに治療) |
ただし、色だけで原因を決めることはできません。
病院では、耳垢を顕微鏡で見て、菌やダニがいるかを確かめます。
マラセチアについては、マラセチアの記事でくわしく解説しています。
病院に行きたいサイン
- 耳をかく・頭をよく振る・耳を床にこすりつける
- 耳の中が赤い・腫れている・においが強い
- 耳だれが出る・耳垢が急に増えた
- 耳をさわると痛がる・嫌がる
- 片方の耳だけ症状がある(異物やポリープのことも)
外耳炎は、長く続くと鼓膜に穴があき、中耳炎になることがあります。
教科書では、外耳炎が45〜60日続くと中耳炎を合併しやすいとされています。
くり返す外耳炎の原因と治療は、外耳炎の記事にまとめています。
耳のトラブルは、アトピーや食物アレルギーなど、皮膚の病気といっしょに起こることが多いです。
耳と一緒に皮膚もかゆがるときは、アトピー性皮膚炎の記事も参考にしてください。
よくある質問
- 耳掃除は何日おきにすればいいですか?
-
健康な耳なら、決まった回数の掃除はいりません。
週1回ほど耳の中を見て、汚れが見えるときだけ入口を拭きましょう。
洗ったほうがよい子は、先生に頻度を聞いてください。
- ウェットティッシュやおしりふきで拭いてもいいですか?
-
アルコールや香料が入ったものは、耳の皮膚の刺激になるのでおすすめしません。
ぬるま湯でぬらしたコットンやガーゼで、見える所だけを拭きましょう。
- 耳掃除をしないとどうなりますか?
-
健康な耳なら、耳垢は自然に外へ出てくるので、困ることはほとんどありません。
耳垢が急に増えた、においが強いといった変化は、掃除不足より病気のサインのことがあります。
- 子犬の耳掃除はいつからですか?
-
健康な子犬なら、耳の中を掃除する必要はありません。
耳をさわられることに少しずつ慣らしておくと、将来お手入れや診察が必要になったときに楽になります。
- 耳掃除を嫌がるときは、どうしたらいいですか?
-
無理に押さえて続けると、ますます嫌がるようになります。
少しさわってほめる、おやつを使うなど、短い時間から慣らしましょう。
痛がって嫌がるときは、耳の病気のことがあるので受診してください。
まとめ|耳掃除は「見る・拭く・必要な子だけ洗う」
- 健康な耳は、掃除しすぎない。耳垢は自然に外へ出てくる
- 家では週1回耳を見て、汚れは見える所だけ拭く
- 炎症をくり返す子・耳道がせまい子などは、イヤークリーナーで洗う
- 綿棒は、鼓膜を傷つけることもあるので家では使わない
- 耳垢の色やにおいの変化、かゆみ・痛みがあれば病院へ
※この記事は一般的な情報です。
気になる症状があるときは、かかりつけの獣医師に相談してください。
📚 参考文献
・伊従慶太(2018)『獣医皮膚科専門医が教える 犬のスキンケア パーフェクトガイド』interzoo
・村山信雄 監修(2019)『伴侶動物の皮膚科・耳科診療』緑書房
