症状・悩み別

犬のアポキルの副作用は?長く飲んでも大丈夫?下痢・効かなくなったとき・やめ方を獣医師が解説

きゃん

「アポキルを飲ませ始めてから、下痢をするようになった…」

「このまま一生飲み続けるのかな。体は大丈夫?」

アポキルを処方されて、こんな不安を感じていませんか?

アポキルは、飲んで数時間でかゆみをおさえてくれる、犬専用の飲み薬です。

副作用はありますが、多くは軽く、定期的な検査をしながら長く使われている薬です。

動物病院で毎日皮膚の相談を受けている現役の獣医師として、副作用と、長く飲むときの注意点、やめたいときの考え方を解説します。

この記事でわかること
  • アポキルの副作用(よく見られるもの・長く使うときに気をつけたいもの)
  • 下痢や嘔吐が出たときの対応
  • 長く飲み続けても大丈夫か
  • アポキルが効かなくなってきたときに考えること
  • やめたい・減らしたいときの考え方と、代わりになる薬

アポキルとは?どんな薬?

アポキルは、犬のアトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎のかゆみをおさえる飲み薬です。

成分は「オクラシチニブ」で、かゆみの信号を体の中で伝わりにくくします。

はじめの最長2週間は1日2回、そのあとは1日1回に減らして続けるのが基本の飲み方です。

サイトポイント(注射)とアポキル・ゼンレリア(飲み薬)のちがい:回数・効き始め・働き方・使えない子

飲んで数時間で効き始めるので、かゆみが強いときに早くラクにしてあげられます。

一方で、免疫の働きを少しおさえる薬なので、副作用を知ったうえで使うことが大切です。

アポキルの副作用|よく見られるもの・長く使うときに気をつけたいもの

副作用は、「よく見られるもの」と「長く使うときに気をつけたいもの」に分けると、わかりやすくなります。

犬のアポキルの副作用:よく見られるもの(吐く・下痢・食欲が落ちる・元気がない)と、長く使うときに気をつけたいこと(感染症・しこり・血液検査)

説明書にも書かれているのが、一時的な嘔吐と下痢です。

海外の試験では、食欲が落ちる、元気がない、皮膚に小さなブツブツが出る、といった変化も見られています。

アポキルは免疫の働きを少しおさえるので、膀胱炎や膿皮症、外耳炎などの感染症にかかりやすくなることがあります。

また、しこりやイボができたり、もともとある腫瘍を悪化させたりするおそれがあると、説明書に書かれています。

下痢や嘔吐が出たときは

飲み始めのころの下痢や嘔吐は、数日で落ち着くことが多いです。

ただし、何度も吐く、血が混じる、ぐったりしているときは、すぐに病院へ連絡してください。

🏥 すぐに病院へ連絡してほしいサイン
  • 何度も吐く、水も飲めない
  • 便に血が混じる、黒っぽい便が出る
  • ぐったりして、ごはんを食べない
  • おしっこの回数が増えた、血が混じる
  • 皮膚や指の間に、急にしこりやできものが出た

「副作用かも」と思っても、自己判断で薬をやめる前に、まずは病院に相談しましょう。

アポキルを長く飲み続けても大丈夫?

アトピー性皮膚炎は、長くつき合っていく病気です。

そのため、アポキルを何年も続けて飲んでいる子も少なくありません。

海外では、2年近く飲み続けた犬を調べた研究で、多くの飼い主さんが「生活の質がよくなった」と答えています。

アポキルを長く飲んだ犬と飲んでいない犬で、がんの発生に差はなかったという研究もあります。

それでも、長く飲むときは、定期的に血液検査を受けることが、説明書ですすめられています。

長く飲むときのポイント
  • 定期的に血液検査を受ける
  • しこり・イボ・指の間のできものがないか、ときどき体をさわって確かめる
  • おしっこの回数や色、耳のにおいなど、感染のサインに気をつける
  • ワクチンの前には、アポキルを飲んでいることを伝える

「肝臓が悪くなる」と心配される方もいますが、血液検査で数値を確かめながら使っていきます。

ほかの薬への切り替えを考えるときも、検査の結果が手がかりになります。

アポキルを飲めない犬
  • 1歳(12か月)未満の子
  • 体重3kg未満の子
  • 妊娠中・授乳中の子、交配する予定の子
  • 重い感染症がある子
  • クッシング症候群など、免疫が弱っている子や、悪性腫瘍が疑われる子

アポキルが効かなくなってきたときは

「最初はよく効いたのに、最近はかゆがる」という声は、とても多いです。

薬が体に合わなくなったのではなく、別の理由が重なっていることがよくあります。

アポキルが効かなくなってきたときに考えること:飲む回数を減らした・菌やカビの感染・舐め壊し・食べ物や季節などほかの原因

いちばん多いのは、1日2回から1日1回に減らしたタイミングです。

皮膚で細菌やマラセチアが増えていると、そのかゆみはアポキルでは止まりにくくなります。

季節の変わり目や、食べ物のアレルギー、ノミなどが重なっていることもあります。

体重が増えて、薬の量が合わなくなっていることもあります。

量を自己判断で増やさずに、いつから効きが悪くなったかを先生に伝えましょう。

マラセチアについてはマラセチア皮膚炎の記事、細菌の感染については膿皮症の記事でくわしく解説しています。

アポキルをやめたい・減らしたいときは?1日おきにしてもいい?

アポキルは、ステロイドのように「急にやめると体に必要なホルモンが足りなくなる」薬ではありません。

ただ、やめると数日でかゆみが戻ってくることが多い薬です。

1日おきにするなど、量や回数を変えるかどうかは、かゆみの様子を見て先生が判断します。

症状がよくなっている子は、飲ませる回数を少し減らしてみることがあります。費用が気になるという方には、ほかの薬を提案することもあります。

アポキルの代わりになる薬は?

アポキルが合わないときや、やめたいときは、ほかの薬に切り替える方法があります。

アポキルの代わりに使われる主な薬
  • ゼンレリア:アポキルと同じ仲間の新しい飲み薬。はじめから1日1回
  • サイトポイント:月1回の注射。かゆみの信号を1つだけ止める
  • ステロイド:よく効き、費用も安い。長く使うときは副作用に注意
  • シクロスポリン:免疫の働きを整える飲み薬。効くまでに数週間かかる

サイトポイントについてはサイトポイントの記事、ステロイドについてはステロイドの副作用の記事でくわしく解説しています。

薬ごとの違いは、犬のかゆみ止めの記事で比べています。

どの薬が合うかは、かゆみの強さや持病、費用などを見て先生と決めましょう。

また、食べ物のアレルギーが重なっている子は、フードを見直すとかゆみが落ち着き、薬を減らしやすくなることがあります。

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よくある質問

Q
ステロイドと一緒に飲ませても大丈夫ですか?

どちらも免疫をおさえる働きがあるため、一緒に使うと副作用が出やすくなるおそれがあると、説明書に書かれています。

一緒に使うかどうかは、先生が様子を見ながら決めます。

Q
飲ませ忘れたときは、どうすればいいですか?

自己判断せずに、かかりつけの動物病院に電話で確認してください。

飛ばしてよいか、気づいた時点で飲ませるべきかは、その子の状態によって変わります。

Q
ワクチンは打てますか?

アポキルを飲んでいる間は、ワクチンが効きにくくなるおそれがある種類があると、説明書に書かれています。

ワクチンの前には、アポキルを飲んでいることを必ず伝えましょう。

Q
アポキルはステロイドですか?

いいえ、ステロイドではありません。

かゆみの信号が伝わるしくみをおさえる、別の種類の薬です。

Q
1年以上飲み続けてもいいですか?

今の説明書では、続ける場合は1日1回飲ませると書かれていて、期間の上限は書かれていません。

長く続ける場合は、定期的に血液検査を受けながら使いましょう。

Q
市販や通販で買えますか?

アポキルは、獣医師の指示が必要な薬です。

体重に合った量や、副作用が出ていないかを確かめながら使う必要があるので、動物病院で処方してもらいましょう。

まとめ|副作用を知って、検査をしながら上手に使う

この記事のまとめ
  • アポキルは、数時間でかゆみをおさえる犬専用の飲み薬
  • よく見られる副作用は、一時的な嘔吐・下痢。続く・ぐったりするときはすぐ連絡
  • 長く使うときは、感染症やしこりに気をつけて、定期的に血液検査を受ける
  • 効かなくなってきたときは、回数を減らした・感染・食べ物など、ほかの理由を探す
  • やめる・減らすは自己判断せず、先生と相談する

かゆみの土台を整える方法は、アトピー性皮膚炎の記事も参考にしてください。

※この記事は一般的な情報です。

薬の量や飲み方は、必ずかかりつけの獣医師と相談してください。

📚 参考文献
・農林水産省 動物医薬品検査所「動物用医薬品等データベース:アポキル錠」(添付文書)
・Cosgrove SB, et al. (2015). Long-term compassionate use of oclacitinib in dogs with atopic and allergic skin disease: safety, efficacy and quality of life. Vet Dermatol.
・Lancellotti BA, et al. (2020). Age- and breed-matched retrospective cohort study of malignancies and benign skin masses in 660 dogs with allergic dermatitis treated long-term with versus without oclacitinib. J Am Vet Med Assoc.

ABOUT ME
きゃん
きゃん
獣医師 / ペット健康ノート 運営者
動物病院で犬・猫の診療を続ける現役獣医師。皮膚のかゆみ・赤み・外耳炎の相談を毎日受けています。犬の健康管理アプリの監修も担当。診察室で伝えきれない「食事でできること・受診の目安」を、論文をもとにわかりやすくまとめています。ラグドールと暮らしています。
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