犬のかさぶたは放っておいていい?黒い・白いかさぶたやダニとの見分け方、受診の目安を獣医師が解説
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「なでていたら、皮膚にかさぶたみたいなものがあった」
「これって放っておいて大丈夫?病院に行くべき?」
愛犬の体にかさぶたを見つけて、こんなふうに迷っていませんか?
結論から言うと、1つだけで、かゆみがなく、1〜2週間で小さくなるかさぶたなら、様子を見てよいことが多いです。
ただ、かさぶたに見えて、実はマダニやしこりということもあります。
動物病院で毎日皮膚の相談を受けている現役の獣医師として、本当にかさぶたかの見分け方、原因、何日で治るか、受診の目安をまとめました。
- 本当にかさぶたか(マダニ・しこりとの見分け方)
- 色・見た目・場所でわかる、かさぶたの原因
- 様子を見てよいかさぶたと、病院に行きたいかさぶた
- かさぶたは何日で治るか
- はがしていい?人の薬を塗っていい?
まず「本当にかさぶたか」を確かめる
かさぶただと思っていても、実際はしこりのこともあるので、本当にそうなのかどうかは確認します。
かさぶたに見えるものには、かさぶた以外のものもまざっています。
まずは明るい所で、そっと毛をかき分けて見てみましょう。

マダニ:足がある・ぷっくり丸い
草むらを散歩したあとに見つけた黒っぽい粒は、マダニのことがあります。
血を吸ってふくらむと、灰色〜黒のつぶのようになり、かさぶたと見まちがえやすいです。
よく見ると、皮膚に食いこんだ口のまわりに、小さな足があります。
- 指でつまんで引っぱらない(口が皮膚に残ることがある)
- 素手でつぶさない(人にうつる病気を運ぶことがある)
- そのまま動物病院で取ってもらう
しこり:盛り上がる・皮膚の下にかたまり
かさぶたのように見えても、さわると盛り上がっていたり、皮膚の下にかたまりがあったりすることがあります。
これは、イボやできもの(腫瘍)などの「しこり」かもしれません。
見た目だけでは良いものか悪いものか区別できないので、大きさを測って、早めに病院で調べてもらいましょう。
イボやしこりの見分け方と、とるかどうかの考え方は、イボ・しこりの記事にまとめています。
色と見た目でわかる原因
本当にかさぶただったら、次は色と見た目を見てみましょう。
原因によって、かさぶたの様子が少しずつちがいます。
| かさぶたの様子 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 黒っぽく乾いている・1つだけ | ケガやかき傷の治りかけ |
| 黄色っぽくベタつく・においがある | 細菌の感染(膿皮症)、脂漏症、マラセチア |
| 白くフケのよう・パラパラはがれる | 乾燥、脂漏症、ツメダニ、カビ(皮膚糸状菌) |
| 丸く毛が抜けて、ふちにかさぶた | 膿皮症、皮膚糸状菌、ニキビダニ |
| 分厚い・鼻や耳のふち・足の裏に多い | 免疫の病気(天疱瘡など)、疥癬 |
細菌の感染は膿皮症の記事、ベタつきやにおいはマラセチア皮膚炎の記事、白いフケはフケの記事でくわしく解説しています。
かさぶたのまわりが赤いときは、犬の皮膚が赤いときの見分け方も参考にしてください。
かさぶたができた場所でわかること
かさぶたができた場所も、原因を考える手がかりになります。
| 場所 | 考えられること |
|---|---|
| 背中・腰・しっぽの付け根 | ノミアレルギー(ノミがいなくても起こることがある) |
| 耳のふち | 疥癬(ヒゼンダニ)、耳のふちの皮膚炎 |
| 鼻・目のまわり | 免疫の病気(天疱瘡など)、こすり傷、日光 |
| お腹・わき・内もも | 膿皮症、アレルギーでかいた跡 |
| 足先・指の間 | なめすぎ、指間炎 |
耳のふちのかさぶたで、かゆみが強いときは疥癬のことがあります。
疥癬は人や他の犬にうつることがあるので、早めに受診しましょう。
足をなめてできたかさぶたは、足なめの記事も参考にしてください。
しっぽの付け根やおしりのかさぶたは、おしり・しっぽの記事にまとめています。
放っておいていいかさぶた・病院に行きたいかさぶた
いちばん多い質問は「放っておいてもいい?」です。
次の図で、どちらに近いか見てみてください。

左の「様子を見てよいかさぶた」に当てはまるなら、1〜2週間ほど見守ってあげてください。
右に1つでも当てはまるときは、かさぶたの下で皮膚の病気が進んでいることがあるので、病院で調べてもらいましょう。
かさぶたは何日で治る?何日様子を見ていい?
浅いケガのかさぶたなら、1〜2週間ほどで自然にはがれることが多いです。
かさぶたの下で新しい皮膚ができると、少しずつ小さくなっていきます。
2週間たっても小さくならない、はがれてもまたできる、というときは、ケガ以外の原因を考えます。
とくに、くり返しできるかさぶたは、アレルギーや感染が隠れていることが多いので、原因を調べることが大切です。
おうちでしてよいこと・控えたいこと
| してよいこと | 控えたいこと |
|---|---|
| そっと見守り、写真で変化を記録する | かさぶたを無理にはがす |
| なめたりかいたりするなら、エリザベスカラーや服で守る | 人間用の薬(オロナインなど)を塗る |
| 寝床やタオルを清潔にする | 消毒液でゴシゴシふく |
| ノミ・マダニの予防薬を続ける | 自己判断で薬用シャンプーを使う |
かさぶたを無理にはがすと、治りかけの皮膚がまた傷つき、細菌が入りやすくなります。
人間用の塗り薬は、なめると心配な成分が入っていることがあり、原因に合わないと悪くなることもあります。
かゆみが強い子の薬は、犬のかゆみ止めの記事で比べています。
皮膚がんのことはある?
かさぶたが皮膚がんのサインということは、多くはありません。
ただ、治らないかさぶた、盛り上がってくるかさぶた、出血をくり返すかさぶたは、腫瘍のことがあります。
とくに高齢の子や、白い毛で日に当たりやすい鼻・耳のかさぶたは、早めに検査を受けると安心です。
食べ物のアレルギーなど、体の中からの原因でかさぶたをくり返すこともあります。
体のどこがかゆいかで見分ける方法は、食べ物のアレルギーの記事にまとめています。
よくある質問
- かさぶたがあるとき、シャンプーしてもいいですか?
-
1つだけの小さなかさぶたなら、ふだんのシャンプーでかまいません。
こすらず、やさしく流してください。
数が多い、ジュクジュクしているときは、先に病院で相談しましょう。
- かさぶたは人や他の犬にうつりますか?
-
ケガのかさぶたはうつりません。
ただ、カビ(皮膚糸状菌)や疥癬が原因のときは、人や他の犬にうつることがあります。
人もかゆくなったときは、早めに受診してください。
- かさぶたが取れたあと、毛は生えてきますか?
-
浅い傷なら、多くは生えてきます。
深い傷ややけどの跡は、毛が生えにくいこともあります。
- かさぶたにオロナインを塗ってもいいですか?
-
おすすめしません。
人間用の薬は、なめると心配な成分が入っていることがあり、原因に合わないと悪くなることもあります。
塗る前に先生に相談してください。
まとめ|かさぶたは「本当にかさぶたか」から確かめる
- かさぶたに見えて、マダニやしこりのこともある。まず本当にかさぶたかを確かめる
- 色・見た目・場所で、原因の見当がつく
- 1つだけ・かゆみなし・1〜2週間で小さくなるなら、様子を見てよいことが多い
- 増える・かゆい・2週間で治らない・盛り上がるときは受診
- はがさない、人の薬を塗らない
※この記事は一般的な情報です。
気になる症状があるときは、かかりつけの獣医師に相談してください。
📚 参考文献
・Hillier A, et al. (2014). Guidelines for the diagnosis and antimicrobial therapy of canine superficial bacterial folliculitis. Vet Dermatol.
・Mueller RS, et al. (2012). Treatment of demodicosis in dogs: 2011 clinical practice guidelines. Vet Dermatol.
・Moriello KA, et al. (2017). Diagnosis and treatment of dermatophytosis in dogs and cats. Vet Dermatol.
・Hensel P, et al. (2015). Canine atopic dermatitis: detailed guidelines for diagnosis and allergen identification. BMC Vet Res.
