犬の乾燥肌・鼻の乾燥の保湿ケア|獣医師が教える冬のフケ・かゆみ対策
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「冬になると、フケが増えてかゆがる」
「鼻がカサカサに乾いているけど、大丈夫?」
寒くなってきて、こんな変化に気づいていませんか?
冬のフケやかゆみは、皮膚の乾燥が原因になっていることがあります。
乾燥による肌トラブルは、洗い方と保湿、部屋の環境を見直すことで和らぐことが多いです。
動物病院で毎日皮膚の相談を受けている現役の獣医師として、皮膚科の教科書をもとに、乾燥肌の見分け方と保湿のやり方をまとめました。
- 鼻が乾いているときは様子を見ていい?
- うちの子は乾燥肌?見分け方
- 保湿剤とワセリンの重ね方
- 冬の部屋の湿度と温度の目安
- 病院に行きたいサイン
結論:冬のフケ・かゆみは乾燥のことも。洗いすぎず、保湿でふたを
冬は気温が下がって皮膚の血のめぐりが落ち、皮脂も減ります。
さらに暖房で部屋の湿度が下がると、皮膚から水分が逃げやすくなります。
乾燥肌の子のケアは、「洗いすぎない」「保湿してふたをする」「部屋の湿度を保つ」の3つが基本です。
鼻が乾いているのは大丈夫?
いちばん多い相談が「鼻が乾いている」です。
犬の鼻は、寝ているときや起きた直後、暖房の効いた部屋などで乾きやすいものです。
鼻が乾いていても、元気なら様子見でいいとお伝えすることも多いです。
何かしてあげたい場合は、ワセリンなどをおすすめすることがあります。

ワセリンの塗り方
ワセリンは、皮膚から水分が逃げるのを防ぐ「ふた」の役目をします。
指先にほんの少し取り、鼻の表面に薄くのばしましょう。
なめてしまう量が多くならないよう、ごく薄くで十分です。
年をとると鼻や肉球が硬くなりやすい
高齢の犬では、鼻や肉球の角質が厚く硬くなることがあります。
教科書では、水を飲んだあとやお風呂のあとなど、角質がふやけているときに余分な角質を落とし、ワセリンなどでふたをすると、やわらかさが続きやすいとされています。
肉球のケアは、肉球の記事でもくわしく解説しています。
- 鼻の色が抜けて、黒からピンクっぽくなってきた
- ただれている・かさぶたがある・出血する
- ひび割れが深く、痛がる
- 元気や食欲がない、鼻水やくしゃみが続く
鼻の色が抜ける、ただれる、かさぶたができるといった変化は、免疫の病気のことがあります。
日に当たると悪くなることもあるので、早めに診てもらいましょう。
うちの子は乾燥肌?見分け方
フケやかゆみの原因は、乾燥だけではありません。
ケアの方法が逆になることもあるので、まずはタイプを見分けましょう。

| タイプ | フケ・皮膚の様子 | ケアの方向 |
|---|---|---|
| 乾燥肌 | 白く細かいフケ。カサカサ。冬に悪くなりやすい | 洗浄を控えて、保湿 |
| 脂っぽい肌(脂漏症) | ベタつく・黄色っぽいフケ。においがある | 皮脂を落とす洗浄 |
| アトピー | 赤み・強いかゆみ(顔・足先・わき・お腹) | 治療+やさしい洗浄+保湿 |
保湿をすると良くなる、シャンプーを控えると良くなる、という場合は乾燥肌を疑います。
脂っぽいフケはフケの記事、アトピーはアトピー性皮膚炎の記事で解説しています。
犬の皮膚が乾燥する理由
- 寒さ:気温が下がると、皮膚の血のめぐりと皮脂が減る
- 湿度:部屋の湿度が50%を切ると、乾燥肌になりやすい
- 洗いすぎ:洗浄力の強いシャンプーや、回数の多すぎるシャンプー
- 乾かし方:熱いドライヤー、または毛が濡れたままにしておく
- 年齢:年をとると皮脂が減る
- 食事:年齢に合わない食事や、行きすぎた食事制限
意外なのが「毛が濡れたまま」です。
濡れた毛が乾くときに、皮膚の水分までいっしょに奪ってしまいます。
食物アレルギーを心配するあまり、食べられるものを減らしすぎて、かえって乾燥が悪くなることもあります。
アレルギー検査の結果の見方は、アレルギー検査の記事を参考にしてください。
獣医師がすすめる保湿のやり方
保湿は「水分を足す」と「ふたをする」の2段階で考えるとわかりやすくなります。

| 役目 | 主な成分 | ポイント |
|---|---|---|
| 水分を足す(保湿剤) | セラミド・グリセリン・ヒアルロン酸・尿素など | 先に塗る |
| ふたをする(閉塞剤) | ワセリン・スクワラン・植物油など | 保湿剤のあとに重ねる |
保湿は、シャンプーのあとだけでなく、ふだんから続けるのが大切です。
教科書では、アトピーの犬に3日に1回〜週3回ほどセラミド入りの保湿剤を使い、皮膚の状態が良くなった報告が紹介されています。
乾燥が強いところには、スプレーやローションより、クリームや軟膏のほうが向いています。
塗ったところをなめてしまう子は、散歩や食事の前後など、気がそれるタイミングで塗りましょう。
人間用の保湿剤には、香料やアルコールなど刺激になる成分や、なめると心配な成分が入っていることがあります。
犬用のものか、先生にすすめられたものを使いましょう。
参考までに、私が使っている犬用の保湿剤を紹介します。
病院のケアでもふだんから使っています。
冬の部屋づくり
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 室温 | 18〜22℃ |
| 湿度 | 60%くらい(50%を切らないように) |
| 暖房 | エアコンやヒーターの温風が、直接当たらないようにする |
| 服 | 寒さや乾いた空気から皮膚を守るのに役立つ |
暖房の風が当たる場所に寝床があると、皮膚も鼻も乾きやすくなります。
加湿器を使うか、濡れタオルを干すなどして、湿度を保ちましょう。
洗い方と食事で気をつけたいこと
乾燥肌の子は、シャンプーの回数と洗う力を控えめにします。
シャンプーの代わりに、ぬるま湯だけで洗う日をつくるのもひとつの方法です。
洗ったあとは、保湿剤でたっぷり保湿しましょう。
肌質ごとのシャンプーの回数は、シャンプーの頻度の記事にまとめています。
食事では、皮膚のバリアのもとになる必須脂肪酸が大切です。
年齢に合ったフードを選び、自己判断で食材を減らしすぎないようにしましょう。
病院に行きたいサイン
- 保湿やケアを続けても、良くならない
- 赤み・強いかゆみ・ブツブツがある
- 毛が抜けてきた・皮膚が黒っぽくなってきた
- フケがどんどん増える
- 元気がない・寒がる・体重が増えたなど、体の様子も変わった
フケが増え続ける、毛が抜けるといった変化は、ホルモンの病気などが隠れていることもあります。
細菌の感染によるフケやかさぶたは、膿皮症の記事を参考にしてください。
よくある質問
- 人間用の保湿クリームを使ってもいいですか?
-
おすすめしません。
香料やアルコールなど刺激になる成分や、なめると心配な成分が入っていることがあります。
犬用のものか、先生にすすめられたものを使いましょう。
- ワセリンだけで保湿できますか?
-
ワセリンは水分が逃げるのを防ぐ「ふた」です。
鼻や肉球など部分的なケアには使いやすいですが、体の乾燥には、保湿剤で水分を足してからワセリンを重ねるとより効果的です。
- 保湿剤は1日何回塗ればいいですか?
-
製品の説明に従うのが基本です。
乾燥が強いうちは毎日、落ち着いたら回数を減らしていきましょう。
シャンプーのあとは必ず保湿します。
- 手作りの保湿スプレーは使ってもいいですか?
-
おすすめしません。
雑菌が増えやすく、成分の濃さも安定しません。
市販の犬用のものを使いましょう。
まとめ|乾燥肌は「洗いすぎない・保湿でふた・湿度を保つ」
- 冬のフケやかゆみは、乾燥が原因のことがある
- 鼻が乾いていても、元気なら様子見でよいことが多い。気になるならワセリンを薄く
- 鼻の色が抜ける・ただれる・かさぶたは受診
- 保湿は、保湿剤で水分を足してから、ワセリンなどでふたをする
- 冬は室温18〜22℃・湿度60%くらいを目安に
- 保湿しても良くならない、赤みや強いかゆみがあるときは病院へ
※この記事は一般的な情報です。
気になる症状があるときは、かかりつけの獣医師に相談してください。
📚 参考文献
・伊従慶太(2018)『獣医皮膚科専門医が教える 犬のスキンケア パーフェクトガイド』interzoo
・村山信雄 監修(2019)『伴侶動物の皮膚科・耳科診療』緑書房
